第7章 約束の結末
「どうした?」
声こそ同様して少し震えていたが、声色はいつもの優しい御幸だった。
「ごめん……このまま聞いてほしい……」
「……火、止めるぞ」
御幸は少し黙った後に、そう言ってコンロの火を消した。
静かになったキッチンで私は息を呑んだ。
「あの日の事……」
ぽつり、ぽつりと丁寧に話し始めた。
「試合見に行ったら、鳴の様子がおかしくて……」
言葉を選びながら、ゆっくり話す
「今後に響くかもって思ったら、勝手に動いてて……」
……無理して欲しくない。
そう思ったのは事実だ。
でも――
「控え室で話してたら……
急に……キス、されて……」
鳴に対して、
それ以上もそれ以下も考えられなかった。
「驚いて、ほっぺ叩いて……そのまま逃げた」
最後まで言い切ると、
腕に込めていた力が少し抜けた。
まだ口を開かない御幸との間に沈黙が流れる。
やけに大きく感じる自分の呼吸と
背中越しに御幸の身体の強張りが
私の心をまだザワつかせる。
「……ごめん」
何に対してなのか。
自分でも分からないまま口から零れていた。
「……謝るところ、ちげぇだろ」
御幸はゆっくり振り返りながら、言った。
御幸side
……鳴とのことが気にならないと言ったら
それは大嘘だ。
それよりも今は――
「……なんで、俺から逃げた?」
俯いたままのユキ。
……言いづらい事なのか。
それでも――
「言えよ」
短く、少し強く言い放つ。
怒っている訳じゃない。
けど、これ以上逃がす気もない。