第7章 約束の結末
――休みが続いて、気付いたら準決勝進出を決めていた。
「……っくしゅん!」
2、3日休んだら学校行くつもりが、
本当に風邪をひいてしまった。
……情けない。
こういう時に限って、両親は出張で家には1人。
食欲もわかず、
薬だけ飲んで寝ようとリビングに向かうと――
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
「……はい」
掠れた声でドアを開けると――
「……よぉ」
そこには今1番会いたくて、
会いたくなかった人が立っていた。
「御幸……なんで……」
「プリント……担任に頼まれたから」
そう言ってクリアファイルに入れられた数枚のプリントと、1冊のノートを渡された。
「ノートはナベから」
淡々とした口調で話す御幸。
でも……
「なんか、あった?」
「気のせいだろ。つーか体調は?」
「あ……昨日までよりはだいぶマシ」
なんとも言えない雰囲気を御幸から感じたが、
流されてしまった。
「……入っていいか?」
「……うん、」
御幸は部屋に入ると一通り見渡してから小さくため息を着いた。
「レイちゃんから聞いてたけど、ほんとに1人かよ……」
……高島先生?……あ、そういえば練習のスケジュール確認した時に両親の出張があるから早く帰れる日作ってもらったんだっけ……
御幸は机の上の薬を見て私に言った。
「お前、もしかして飯食わずに薬飲んで寝ようとしてたか?」
「……そ、そんな事……」
図星をつかれた私が明らかに動揺して誤魔化そうとすると、
「はぁ……ちょっと待ってろ」
御幸は大きなため息をついて、台所へ向かった。
「勝手に借りるからな。お前は大人しくしとけよ」
そう言って御幸は手際よく水を沸かし始めた。
その背中に私は俯きながら問うた。
「なんで……来たの?」
「はぁ?今更かよ」
御幸は振り向くことなく答えた
「……顔、見ときたかったから」
小声で呟かれたはずのその言葉は私の耳にしっかりと届いた。
私は不意に御幸を見つめた。
背中側からでもわかる。
耳まで赤くした御幸の顔。
愛おしさが胸に積もる。
それと同時に、罪悪感に似たザワつきが
私の足を動かした。
気が付けば、御幸の背中から手を回して抱きついていた。