第7章 約束の結末
不意に声をかけられ顔を上げると、
そこには御幸と、片岡監督の姿があった。
「……御幸」
どこから見てたのだろう……
でも、そんな心配は要らなかった。
「あいつ、気付いたな」
御幸は短くそう言った。
その言葉にはどこか安堵を感じた。
片岡監督が「用がある」と先に寮へ戻ると
御幸は小さくため息をついた。
「また、気付けなかった……」
ポツリとそう言った御幸の肩はいつもより小さくなっていた。
「……違うよ」
自分でも迷いながら口にした。
私は1歩近づくと、御幸の手を軽く握った。
「今、ちゃんと気が付いた……でしよ?」
御幸side
ユキに握られた手の温もりに視線が落ちる。
「やっぱり向いてねぇな、キャプテン……」
不意に、こぼすつもりのなかった愚痴が零れた。
少しの沈黙――
その空気を破ったのは、ユキの声だった。
「……え、今更?」
少し呆れたように笑うユキ。
「御幸、自分で気がついてないかもだけど……」
そう言って、まっすぐな視線と目が会った。
「ちゃんと引っ張ってるよ、チームのこと」
空気が変わった。
「プレーだけじゃなくてさ、人の得意不得意ちゃんと見てるじゃん」
「ああいうの、なかなかできる人居ないよ」
少し苦笑いを浮かべ
「まぁ、言い方は……ちょっと、あれだけど」
「けど、それも含めて御幸だって皆わかってるし」
握られていた手に少し力がこもる
「だから御幸も、周りをもっと頼っていいんじゃない?」
「……うるせぇ」
……言われなくても分かってる。
でも――
「……ありがとな」
そう言って、ユキの手を握り返した。
握り返した手の温もりが、
俺の肩の力を抜いてくれた。そんな気がした。