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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末


あの時の言葉が頭をよぎる。

『逃げてるように見えた』

――ユキの違和感が、現実になった。


俺は早いうちから監督に目配せをし、沢村は1つのアウトも取らせてやれる事もなくマウンドから降りた。

夢主side

試合後ザワつく気持ちが抑えられず、私は沢村くんの元へ向かった。

「沢村くん!」
「前原さん……」

落ち込んでいる沢村をいざ目の前にしてすごく胸が締め付けられた。

「……気付いてたの」
「え……」
「インコース……少しおかしいって」

言葉が震え出すのがわかった。

「でも、キャッチボールだと本当に違和感程度で……まさか、ここまで……」
「前原さん、落ち着いてください!俺は大丈夫なんで!」

沢村くんが慌てて止めに入るが、私の気持ちが収まらなかった。

「でも……!」

そう言いかけた時、近くにいた御幸の姿が目に入った。

一瞬だけ目が合った。
――でも、すぐに逸らされた。

御幸side

目が合った瞬間、逸らした。

……分かっていたはずだろ。

あいつの捕手としての勘を信じてない訳じゃなかった。
ただ――

認めたくなかった。

『沢村なら大丈夫』
そう、どこかで思っていたかった。

――その結果がこれだった。

沢村達から少し離れて歩いた。

「……ほんと、向いてねぇ」

気がついたら零れていた。

夢主side

少しずつ離れていく御幸の背中を
私は無意識に追っていた。

「……向いてねぇ」

その言葉に足が止まった。
本心から出た言葉に聞こえた。

――キャプテンとして?
――キャッチャーとして?
それとも……

少し俯いているその背中がいつもより遠くに感じた。
私は声をかけることが出来なかった。

御幸とまともに目が合わない日が続いた。

「なぁ、御幸となんかあったか?」

休憩時間、倉持くんからコソッと聞かれた。

「べ、別に……」
「嘘つけ」

「お前ら、分かりやすすぎだろ」

図星をつかれて言葉に詰まる

「まぁ、無理に聞く気はねぇけどよ……」

「あいつも、ああ見えて余裕ねぇから」

「キャプテンだからって、抱え込みすぎなくていいのにな」
「そうだね」
「俺らみたいな外野からしか気が付けねぇこともあるから、お前も遠慮すんなよ」

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