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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末


入るやいなや、御幸はテレビ横の棚に向かう。

「やっぱり、もうあった」

御幸が棚から手にしたのは1枚のDVDだった。

「もしかして、昨日の試合の?」
「そ。記憶が新しいうちに反省する方がいいと思ってよ」

そういえば、OBの人が毎試合その日のうちにDVDに焼いて持ってきてくれてるんだった。

「試合見るなら、これもいるよね」

私は、そう言って昨日自分が付けた未清書のスコアを広げた。

「お、良いの持ってんじゃん」

そう言って、私達はDVDを見始めた。
前半は止めることなく、メモを取りながら見進めた。

けど、沢村くんの最後のイニングのすこし前で映像を止めた。


「もうここから沢村くんの顔強ばってるね」
「あせるカウントでもないからマウンド行って声かけるべきだったか……」

「大胆な球投げてくれるから受けてる球だけ見てたら気がつけないよね」
「そうだな」
「今度沢村くんの球受ける時に、もう少し癖ないか私の方でも探してみる」

「ありがとな」

短い返事。
でも画面を見つめる御幸の目線は逸れることはなかった。

「私も――鳴に言い返せるくらいには、
自分のやれる事をしっかりやり切りたいから」

「……そうか」

その後も私達は映像を止めては戻して、
スコアとのにらめっこを繰り返した。


気がつくと、外は太陽が西へ傾きかけていた。

倉持side


昨日の帰り時、前原と御幸の様子がおかしかった。

正直、皆自分の気持ちでいっぱいいっぱいだったから、あいつらのこと気にしてるやつなんていなかった。

沢村は今朝もまだしょぼくれてた。
俺はその空気に耐えられなくて部屋を出た。

行くあてもなく廊下を歩いていたら、
スタッフルームの電気が着いてるのが見えた。


……こんな時間から、誰だよ


そう思って部屋を覗くと、
そこには御幸と前原が居た。

「……もう少し早く気づけたかもな」
「うん。でも次は――」

机に広げられたスコア。
真剣な顔。

……なんだよ、あいつら。
昨日負けたばっかだろ。

それでももう、前向いてやがる。

「……ちっ」

小さく舌打ちして、俺はその場を離れた。

――俺も、行くか。
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