第6章 約束の行方
鳴side
「今日はありがとね、久しぶりにキャッチャーとして楽しい時間過ごせたよ」
「俺も、ちょっと見直すきっかけになった。ありがとな」
「そっか、良かった。少しでも鳴の役に立てたなら」
そう言って笑うユキを見て、胸がざわついた。
そのざわつきは衝動に変わった。
「なぁ、ユキ」
「どうしたの?」
「お前、青道辞めてうちに来いよ」
「え……」
「お前なら……いや、違うな。お前がいれば、俺達ももっと上にける。甲子園、連れてってやるよ」
迷いはなかった。
夢主side
最寄り駅までの帰り道
鳴の言葉に、一瞬息が詰まった。
正直……少し揺れた。
あの球を受けたから後だからこそ。余計に。
でも――
私は首を横に振った。
「鳴、私はね、」
私はその場で立ち止まり、鳴を見上げながら言った
「誰かに連れて行って欲しいわけじゃないの、自分の足で行きたいの、青道《ここ》で」
御幸の真剣に野球に向き合ってる姿が脳裏に浮かぶ。
鳴もきっと比べ物にならないくらい野球が好きな事はキャッチボールでもよくわかったつもり。
でも――
「……御幸と一緒に。それが私達の約束だから」
そうハッキリと伝えた。
「そっか……」
鳴はそう言って俯いたが、
ゆっくり私の方に顔をあげる
「なら、その約束――」
一歩、距離が縮まった
「俺がぶっ壊してあげる」
そう言った鳴の顔は笑っているのに、目は笑っていなかった。