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約束の行方【御幸一也】長編

第5章 約束を乱すもの


御幸side

「ユキ、お前マジで最高、っはっははは」
「ちょっと、笑いすぎだってば!」

黙って聞いてたら……
そりゃ思い出せねぇよな。性別勘違いされちゃあ。

当時は別に何とも思わなかった。
でも、鳴のやつはずっと覚えてた。

というか、あんなのその場のノリだったし、今更持ち出してくるのは――なんか、面白くねえ。

それに、距離感も気に食わない。

「なぁ、約束自体はまだ有効だろ?」

そう言ってユキの手を引こうとした鳴の前に
気がついたら体を出していた。

――何してんだ?俺は……

「なに?一也には関係なくない??」
「……悪りいな、今じゃないと思ってよ」
「今じゃなかったらいつするんだよ!また居なくなるかもじゃん!」
「……それはない」
「なんで?!」

また居なくなるかもしれない――

その言葉にドキっとしたのは嘘じゃない。
でも……

「だって、これから試合だぜ?どうやって居なくなれるんだよ」
「そういう事じゃなくて!」
「とりあえず、うちのマネージャー意外と忙しいんで、この辺で」
「なんで一也が勝手に話終わらせようとしてんだよ!ユキはどうなんだよ!?やりたくないのかよ!」


夢主side

私は言葉に詰まり、視線を落とした。

女だからって理由で諦めた野球。

「……やりたくないと言えば嘘になる」

ぽつりぽつり、言葉を零しはじめた

「ブランクもあるし、ましてやずっと野球を続けてきた鳴の球を取れる自信もない」

けど、やっぱり自分に嘘はつきたくないから――

私は一息ついてから、鳴を見上げ

「それでもいいなら――やりたい」

そうハッキリ告げた。

御幸side

久しぶりにユキのあんなまっすぐな表情を見た気がする。
それと同時になにか黒い感情が心の中で渦巻いた。

俺が何も言えずにいると、隣で空気していた倉持が口を挟んだ

「なぁ、でもこれから練習試合だろ?その後ならグラウンドも自由に使えるしいいんじゃね?」
「そうだね、鳴もそれでいい?」
「うん!今度こそ絶対だからね!!」

そうして俺たちは解散して、各々練習試合が始まった。

しかし、練習試合の途中、丹波さんが顎にデッドボールを受け練習試合は急遽お開きになった……
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