第4章 パラサイト その1
「勿論、タダじゃないよ??」
アリスは首を傾げて、太宰に云った。
「それはそうだろうね。それで、何を望むんだい?」
フム、と口元に手を当てて問う太宰。
「えっとねぇ〜……〇〇ショップのイチゴタルトワンホールがいいなー」
「おや。そんなものでいいのかい?」
キョトンとする太宰にコクリと頷くアリス。
「……直ぐに手配しよう」
「有難う治兄」
そんなやり取りを、何も云わずに見ていた中也だったが、ふと疑問に思ったことを口にした。
「終わったのかよ」
「うん?ああ、勿論方が着いたとも」
何事も無かったように云う太宰に、今度はアリスがキョトンとする。
「あれ?終わっちゃったの?」
「うん。アリスのお陰で早く済んだよ」
「そっか。じゃあ私はもう用済みだね」
アリスはピョンと跳ねて立ち上がった。
「おや?もう行くのかい?約束のケーキは如何する?」
「✕✕ホテルに居るから運んで欲しいな」
「其処が君の寝床かい?」
「まあ、今はそう」
「送るぜ」
「ううん、大丈夫。直ぐに帰れるから」
「「……。」」
アリスの返しに、何時ぞやの出来事を思い浮かべる太宰と中也。
直ぐに帰れるのは本当なんだろう。
そんな二人に構いなく、アリスは執務室の扉に手をかけた。
「じゃあ、またね治兄、中也兄」
「……おう」
「また、ね。アリス」
二人に笑顔で手を降るとアリスは扉を開けて出ていった。
「中也」
その扉が閉まったと同時に太宰が声を発し、中也が扉を開けて廊下を確認するように覗き込んだ。
「……居ねェ」
「一体、幾つ出来ることが在るのやら」
やれやれ、と息を吐く太宰。
「然し、今回は一応拠点も教えて帰ったし、中也の記憶も消されていないようだ。次がある、と考えていいだろう」
「……。」
太宰の言葉に中也は黙ったまま、先程のやり取りを思い浮かべていた。
『そうだった!護身術!』
『あ?護身術?』
『教えてくれるって云った!』
中也個人との取引ーーー
そのお陰で、次があるとするならば。
「繋ぎ止めておくには充分な内容だったな」
「何がだい?」
「何でもねェよ」
中也はそう云うと、執務室を後にするのであった。