第2章 夢主
『やっと電話に出たな!』
「ごめんね中也兄。寝ちゃってた」
態とふぁ〜と欠伸してみせる。
疑ってはないみたい。
『……起こして悪ィな。急ぎだ。太宰の糞野郎が離反しやがった!』
「え?治兄が?またまた〜」
『冗談抜きだ。アリスは今何処に居る?』
「え、本当なの??私は今、##プリンスホテルに居るけど」
『直ぐに向かう。移動するなよ』
「判ったー」
そう返事すると電話が切れた。
通信端末を見ながら、フと思った。
中也兄が私に会いに来る理由って何だろう……?
離反した治兄の居場所の特定?
ーーーそれなら組織が動くってことで、そうなると森さんから直接連絡がある筈だし……うーーーん……
暫く考えていると、本当に直ぐにやってきたみたい。
コンコンコン、と云う叩敲の音でハッとする。
「はーい、今開けますよー」
ガチャッと扉を開けたと同時に入ってきた中也兄は、
「ひゃあ!?ちゅ、中也兄!?」
「…。」
入ってくるなりギュッと私のことを抱きしめた。
突然のことでびっくりする私。
どうしよう……!
「中也兄…!?苦しいよっ」
「手前まで居なくなるかと思った…電話にも直ぐに出ねえし」
抱き締める力が少し強まる。
「勝手に居なくなったりしないよ……多分」
「多分かよ……なら離せねェな」
「えぇ!?」
どうしよう……心臓の音が聞かれちゃう前に離れたいけどっ…、
「中也兄……勝手にいなくなったりしないから」
「……約束できるか?」
「できますっ!だから…そのっ、そろそろ離しっ……!耳元で話すのやめてっ…!」
あたふたしてる私を見て、中也兄はクツクツと喉を鳴らして笑い出した。
そして、耳元に顔を寄せて、
「ーーー忘れンなよ、今の約束」
そう云うと漸く私を解放してくれた。
最後の一言で、恥ずかしさと耳元で話されたむずがゆさのせいかペタリとその場に座り込んでしまった私。
絶対に顔が赤くなってるっ!!
中也兄から顔を逸らすように座り込んでいると、ヒョイッと担がれて、ベッドまで運ばれた。
「前にも云ったが、俺は手前を太宰に渡す心算はないからな?」
云われましたけどッ!
「私は別に治兄と何も無いもんっ!」
「なら安心だな」
優しく頭を撫でてくる中也兄。
ーーー顔の赤みはまだ引きそうにない。