第1章 情報屋
ポートマフィア首領室ーーー
「……成程。接触をしたのに全く覚えていないのか。噂通りだね」
「申し訳ありません」
報告書を読みながらそう云う首領に対して頭を下げる中也。
「否、謝らなくていいよ。取り敢えず、その情報屋が本物で、実在すると云う情報は得られたというわけだ」
報告書を机に置いて、ニコッと笑う首領だが、中也は頭を下げたままだった。
「にしても、異能であれば太宰君なら覚えている筈じゃあないのかね?」
「恐らく……。然し、太宰は取り逃がした「影使いの異能者」の捕獲の方に行っておりまして……」
「ほう…」
苦しい言い訳をする中也。
首領にもその嘘はバレているだろう。彼奴が、そんなに勤勉に働くわけが、ない。
「顔を上げて、中也君」
云われた通りに、頭を上げる中也。
「情報屋は一先ず置いておこう。今君が云った通り、我々が一番にしなければならないのは裏切り者の始末だ」
「承知いたしました」
頭を再び下げ、中也は首領室を退室した。
部屋を出ると、ふぅ、と一息を着く。
そして、呟く。
「情報屋のヤロー…次会ったら覚えてろよ」
盛大に舌打ちをし、中也は足早にその場を去ったのだった。