第1章 情報屋
「……何だよ。急に黙りこんで」
「いや。結局、何も解らないまま逃げられてしまったからね。情報屋にも裏切り者にも」
「取り敢えず、裏切り者だろ?」
「そうなるね……」
そう云って立ち上がると、
「じゃあ、中也。報告書宜しくね」
手をヒラヒラさせながら、部屋から出ていった太宰。
「はァ?!一寸待て!!覚えてないって云ッてるだろ、この糞太宰!!!おい!?」
パタンと扉がしまった後もギャーギャーと中也が叫ぶ声が聞こえる。
が、そんなことは気にもしない太宰は足早にその場を離れたのだった。
太宰の居なくなった部屋で、静かになる中也。
「マジで如何しろッてンだよッ!」
中也は先程まで接触していた筈の情報屋を必死に思い出そうと目を閉じた。
出会い頭に何かを云われ、怒鳴った事
自分たちの組織が追っていた敵がその場にいた事
その際に、一切助けたりしてない筈だからある程度の戦闘能力を有していると考えられる事
断片的に覚えてはいるが、其処に「情報屋」は居ないーーー
パチッと目を開けて頭をガリガリとかく。
「あー……仕方ねェ…有りの侭書いて首領に報告するか」
溜息を付き、報告書に取り掛かるのだった。