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まだここにいる【ワンピース サンジ】

第13章 12★


みかは、すぐには答えられなかった。

近すぎる距離のせいで、サンジの呼吸まで分かる。

「好きだ」

と言われた言葉がまだ胸の奥で熱を持っていた。

逃げたいわけじゃない。

むしろ、このまま触れていてほしいと思ってしまっている。

その気持ちが、自分でも少し怖かった。

「……みかちゃん」

呼ばれて、ゆっくり顔を上げる。

サンジの目は変わらず真っ直ぐだった。

軽く誤魔化したりしない。

返事を待っている。

みかこは唇をきゅっと結んで、それから小さく笑った

「……断れる空気じゃないです」

「断る?」

少しだけ意地悪く返されて、みかこの心臓が跳ねる。

「……っ」

言葉に詰まると、サンジがふっと笑った。

でも次の瞬間には、その笑みも静かに消える。

代わりに落ちてきたのは、優しい声だった。


「無理はさせねェよ」

そこまで言って

サンジは一瞬だけ黙った…

みかこが不思議そうに見上げると、視線を逸らしたまま小さく付け足す。


「……多分な」


「え」


思わず聞き返す。

サンジは片手で顔を覆って、低く唸るみたいに息を吐いた

「いや無理だろこれ以上近くにいられたら」


「理性保ててんの、わりとギリギリなんだけど」


困ったみたいに笑うくせに、声が全然余裕じゃない。

その熱に、みかこの鼓動まで引っ張られる

サンジがゆっくり視線を戻した。


「だから今のうちに言っとく」


額が触れそうな距離。

低い声が、逃げ場をなくしていく。


「途中で止まれなくなったら悪ィ」


その瞬間——

「サーーーンジーー!!メシーー!!」

船中に響くルフィの絶叫

空気が綺麗にぶち壊れた。

数秒

サンジが無言で天井を見上げる。


「……あいつ、見計らってんのか?」


みかは耐えきれず吹き出した。

さっきまであんなに苦しかった胸が、少しだけ楽になる

その笑い声に、サンジも諦めたみたいに笑った。

「……ったく。コックは仕事戻るか」

そう言いながらも、離れた手がまた自然にみかこの指を引っ掛ける。

まるで“続きは終わってない”って言うみたいに。
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