第13章 12★
大きな人波が横を抜ける。
その瞬間、
サンジの腕が強く引いた。
「……っ」
気づけば
逃げ場みたいな隙間に押し込まれていた。
壁とサンジの腕の間。
ほとんど抱き込まれるみたいな距離。
「危ねェな」
低い声が
耳のすぐ近くで落ちる。
息が詰まる。
近い。
煙草の匂いも、
体温も、
呼吸の音まで分かりそうだった。
サンジは周囲を確認するように一度だけ視線を上げて、
そのままみかへ視線を戻す。
距離は離れない。
むしろ額が触れそうなくらい近いまま、
小さく息を吐く。
「……見失うかと思った」