第13章 12★
サンジは店先のコートを一度見回して、
「これじゃ足りねェな」
と、独り言みたいに言う。
「え?」
みかが反応する前に、
サンジはもう一着を手に取っていた。
「こっちだ」
軽く肩にかけられる。
重さと、煙草の匂い。
距離が近い。
「……自分で選べるってば」
少しだけ、声が強くなる。
サンジの手が一瞬止まる。
「……悪ィ」
「サンジ、あんたそれ半分趣味でしょ」
ナミの声
「うるせェ」
即答
ロビンが小さく笑う。
みかはコートを脱ごうとして
なぜか手が止まる。
——あの時も、こんな距離だった。
思い出そうとして、
また途中で引っかかる。
「……これでいい」
小さく呟く
サンジの目が、ほんの少しだけ細くなる。
「……似合ってる」
それだけ言って、
視線を逸らした。