第15章 冬島
雪を踏む音だけが、静かな町に残っていく。
きゅ、きゅ、と規則正しく響くそれだけが、妙に現実味を帯びていた。
チョッパーはサンジの手を握ったまま、不安そうに辺りを見回す。
「誰も喋らないな……」
「さっきからずっと変だよな」
後ろでウソップが肩をすくめる。
ルフィだけは、変わらず前を見て歩いていた。
「でも誰かはいるんだよなー」
雪の積もった屋根を見上げながら、のんきに呟く。
そのとき。
少し先の角を、影が横切った。
白い世界の中で、その一点だけが不自然に切り取られたように見える。
サンジの足が止まる。
みかの手を握る力が、わずかに強くなる。
「……今の」
ウソップが息を呑む。
ルフィはすぐに角へ駆け出した。
「おーい!」
だが、曲がった先には誰もいない。
ただ雪だけが静かに積もっている。
チョッパーがサンジの手をぎゅっと握り直す。
「き、消えた……?」
サンジは周囲を一度見回し、小さく舌打ちした。
「……いや」
低い声が落ちる。
「まだいる」
その瞬間。
少し離れた建物の窓ガラスに、一瞬だけ影が映った。
しかし次の瞬間には、もう何もない。
ウソップの顔から血の気が引く。
「む、無理だってこれぇ……!」
ルフィは逆に笑っていた。
「おもしれぇ島だな!」
サンジは煙を吐きながら眉をひそめる。
「笑ってる場合か」
そう言いながらも、みかの手は離さないままだった。