第15章 冬島
店の中の重さが、一瞬だけ緩む。
サンジは小さく息を吐いた。
「……お前はそれかよ」
カウンターの方を見る。
さっきまでの違和感は、まだ消えていない。
「とりあえず出るぞ」
短く言って、ドアへ向かう。
ルフィが皿を持ったままついてくる。
ウソップとチョッパーも続く。
扉が開く。
外の空気が流れ込む。
その瞬間。
音が、消える。
雪は降っている。
なのに、落ちる気配がない。
足を踏み出す。
感覚だけが、やけに軽い。
ウソップが固まる。
「……え、今の、音した?」
サンジがゆっくり周囲を見る。
人はいる。
歩いている。
でも、そこに“いる感じ”がない。
ルフィが首をかしげる。
「外の方が変じゃねぇか?」
サンジは煙を吐く。
「……店だけじゃねェ。島全体だ」
雪の白さだけが、やけに現実に見える。