第14章 13
食事が終わる頃には、さっきの空気もすっかりいつも通りになっていた。
「ごちそーさま!」
ルフィが勢いよく立ち上がる。
「おい待て、食った食器くらい下げろ」
「え〜」
「え〜じゃねェ」
騒がしいやり取りに笑いながら、みかも空いたカップを持って立ち上がった。
その時、不意にサンジの手が伸びる。
「それ、俺が下げる」
「ん、大丈夫――」
言いかけたところで、カップを持つ手ごと軽く包まれた。
一瞬、みかの動きが止まる。
「……サンジ」
「ぼーっとしてると危ねェぞ」
さらっと言いながらカップを取っていく。
その横顔を見て、みかは小さく息を吐いた。
やっぱりずるい。
何でもない顔して、こういうことする。
でもその少し後ろで。
サンジだけが、さっきの言葉をまだ引っかけたままだった。
“ブラック飲めたっけ”
あんな小さい違和感。
普段なら気にも留めない。
なのに、なぜか胸の奥に残って離れなかった。