第2章 Lesson1 ただ、撫でるだけ。
シリウスに一番痛いところを突かれたルシウスは、グッと言葉を飲み込むと、悔しそうに額をピクピク動かした。それに気を良くしたシリウスは、更に追い打ちをかける。
「それにこんな所で時間を食っていて良いのかい?これから魔法省で尋問があるんだろう?」
「尋問!!?」
「ああ、話は全てキングズリーから聞いている。途中で寝返ったとはいえ、当面マルフォイ家の人間は魔法省から責任を追及されるだろう」
「こんな所で油を売っている暇は無いはずだ」とシリウスが挑発すると、ルシウスが杖に手をかけた。だがそんなことで怯むシリウスではない。
レイを肩に担ぐと同時に、ベルトにさしてあった杖を取り出した。
「悪いが、レイはうちの娘同然なんでな」
「それを言うならレイは僕の恋人だ!」
吹き飛ばされた瓦礫の下から、ようやくドラコが姿を現した。確かにルシウスもシリウスも、言ってしまえば赤の他人だがドラコだけは違う。ドラコは……あえて言葉にするのは恥ずかしいが、一応列記とした恋人である。
そのドラコを裏切るような真似はしたくないが、こうでもしなければ3か月後にはブーケトスが待ち構えている。レイとしては、それだけは何としても避けたかった。
「悪いドラコ!婚約の話はホグワーツを卒業してからだ!!」
「と、言うわけだ。悪いなドラコ、せめて引っ越し祝いくらいには呼んでやろう」
「悪いと思っている顔じゃないぞ!」
「思ってないからな!」
快活な笑顔でそう言うと、シリウスはレイを連れて姿くらましをした。
こうしてレイは、がんじがらめだったマルフォイ邸からまんまと脱出することに成功したのだった。