• テキストサイズ

【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】

第4章 0.5



ホテルのドアが閉まる音が、やけに大きく響いた。

透の足音が遠ざかっていく気配が、完全に消えるまで、爆豪はその場から動けなかった。

「……クソ。」

吐き捨てるように呟いて、乱暴に髪をかき上げる。

言えたはずだった。昨夜でも、今朝でも。
何度もタイミングはあったのに——結局、一言も出てこなかった。

頭の中に、さっきの透の声が何度も蘇る。

“割り切ったほうが楽じゃない?”

軽い調子で、何でもないことみたいに。
舌打ちが、自然とこぼれる。

「……んなわけ、あるかよ。」

低く、誰に向けるでもなく吐き出す。

ベッドに視線を落とすと、まだ残っている体温が妙に現実味を帯びていて、余計に苛立ちが増した。

踏み込めばよかった。
あのとき、止めればよかった。

“違う”って、一言言えばよかっただけなのに。

「……は、ダッセェ」

自嘲気味に笑う。結局、自分で選んだ形だ。
“好きにしろ”なんて投げた時点で、もう引き返せない。

拳を強く握る。

それでも、頭のどこかで分かっていた。

——このままで終わるつもりなんて、最初からねぇ。

静まり返った部屋に、一人分の呼吸だけが残る。

さっきまで確かにそこにあったものが、もう手の届かない場所にあるみたいで。

爆豪はもう一度、小さく舌打ちをした。




/ 106ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp