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ヒロインを降りたら、君がいた 【ヒロアカ 爆豪(緑谷)】

第1章 君の隣には彼女が相応しいから…


出久への失恋の傷はまだ完全には癒えていない。
つい数日前まで、彼とお茶子の幸せを願って身を引いた悲しみに浸っていた。
なのに、勝己の抱え続けてきた十数年もの一途な想いを知ってしまった今、胸の奥からせり上がってくる熱い感情を無視できなくなっていた。



「……あいつ、本当にバカだよね。あんなに不器用で、誤解されるようなことばっかりしてさ……」



響香の口から出たのは呆れたような言葉だったけれど、その声がひどく優しく響くのが分かった。




「お、ちゃん、顔赤いよ? お酒のせいかなー?」



上鳴のニヤニヤした顔を、響香が肘で小突く。




「茶化さないの。……で、どうすんの? あんたの気持ちは?」




響香に真っ直ぐ見つめられ、私は小さく息を吐いた。
心の片隅で前世の自分が「推しと両想いなんて、そんなのありえない!心臓がもたない!無理!!」と叫んでいる。


けれど、それ以上に今の私が「彼に会いたい」と強く求めていた。






「……私、ちゃんと向き合わなきゃ。あんなに真っ直ぐにぶつけられたんだもん。逃げたまんまじゃ、勝己に申し訳ないし」


「おー、いいね! 応援するよ!」


「……ま、あいつを扱いきれるのは、あんたぐらいしかいないからね。頑張りなよ」




二人に背中を押され、店を出た。



夜の冷たい空気が心地いい。
スマホを取り出し、連絡先を開く。
登録名の「勝己」は、昔から変わらない。


かつての推しで、いじめっ子で、誰よりも私を一番近くで見守り続けてくれた、世界で一番不器用な男。



『今、何してる? ちょっと、話したいことがあるんだけど』



指先が震えながらも、私はメッセージを打ち込んだ。


出久への初恋を卒業した私の、新しい「恋」が、今ここから動き出そうとしていたーー。



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