第3章 色づいて、舞い踊る
「でもこれ、上手く使いこなせればなかなか優秀な代物だよね」
「花衣ちゃんもそう思う?ちょっと練習してみようかなと思ってさ」
「うん、いいと思う」
グラスホッパー。確かオプショントリガーの一つだったはず。空中でも任意の位置であれば固定できるし、加速もつく。すばしっこい駿くんにはぴったりだ。
「花衣ちゃんも合ってると思うんだよねー、これ」
「あたしも?」
こないだの訓練の時の花衣ちゃんの動き見てたら、オレと似たような感じだったしって、あっけらかんとそんなこと言うけど、身のこなしも俊敏さも断然劣ってるよ、駿くんよりも。
今だってほら、いくつも起動させた板を散りばめて、ずーっと上の方へと、けっこうな速さで上がってくそんなスゴ技、あたしが習得するのにいったい何日かかるんだろうか。
電信柱のてっぺんまで上ったと思ったら、またすぐに飛び降りて目の前で綺麗に着地できるのは、トリオン体がなせる技だってのもあるけど、もともと身体能力の高い駿くんだからってのもあると思う。
「でもC級だと一種類しかセットできないのが悔しいな」
「確かに。訓練で使えるのは上がってからだね」
「うん、てか遊んでたら怒られそうだから、そろそろ出よっか」
この歳になってまで怒られるのはさすがにちょっと恥ずかしい。どこぞの餅好きなあの人はよく風間さんに怒られるみたいだけど、一緒くたにはなりたくないな。
じゃ、またね。手を振って互いにベイルアウト。戻ってきたベッドの上で、天井を見つめた。凄いなぁ。あんな風にいろいろ研究してるんだな。
駿くんの言った通り、もしあたしにあれが合ってるなら使ってみたいかも。
強みを持つのは先を考えれば自ずと有利になる。太刀川さんは二刀流、風間さんだってあそこはチーム全体でだけどステルスがあるし。
ブースを出てフロアのソファーに沈みながら思考はフル回転。グラスホッパーも、自分が踏むだけじゃなくて、使い方はきっと千差万別。例えば、相手に踏ませるとか、人以外の物質を踏ませれば陽動にもなるか。あとは、フェイクも使えるな。そう考えると一つのトリガーでも複数の使い方ができるのは嬉しい。