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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第2章 迷宮のダンジョン




「そういえばお前、迅が連れてきたヤツに色々教えてやってるらしいな」


為にもならない名目だけのかったるい会議のあと、長い廊下で俺の前を迅と歩く風間さんが、振り返りざまにそう告げた。

片手にはぼんち揚。その隣の迅は黙々と食ってやがる。


「珍しいな、お前が直々に手ほどきするとは」
「全部コイツの仕業ですよ、俺は嫌だっつったのに」
「の割には真面目にやってるみたいじゃないか」
「太刀川さんはあれだよ風間さん、レポートかかってるから」


ぴくりと動いた風間さんの眉根は見なかったことにしたい。迅が事の経緯を大まかに喋り終わる頃に、漏らされるだろう説教も聞かなかったことに、


「またお前は姑息なことを。……だいたいいつも言われてるのになんでそこまでだらしないんだ」


やっぱできねーわな。
よりにもよって年下にレポートを手伝わせるなとか、単位も危ういのにシフトを詰めすぎだとか、頭の使い方をもっと均等にしろとか。タコにもならないし痛くもないのはもう何度となく聞いているお決まりの台詞だからだ。


「太刀川さん、訓練は順調?」
「そうだお前、手伝うって言っときながら全部こっちに任せっきりじゃねーか」
「実力派エリートは色々と忙しいんだよ。あ、でも来週なら時間取れるしそん時は変わるから」


風間さんの小言に絶妙なタイミングで助け舟を出してくれたのは有り難いが、望月強化計画が始まって数週間、コイツは一度たりとも俺からのバトンを受け取る気配すら見せなかった。

自分の任務と望月に付きっきりな日常で、学業を疎かにしない方が無理な話だろ。言ったところで返ってくる言葉はだいたい分かるから言わねーけど。


人を出しに使うな。それ以前からお前はだらしなすぎる。想像して口を噤んだ隣、特訓メニューの紙切れを、迅が風間さんに見せていた。


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