第2章 迷宮のダンジョン
「入隊式、再来月だよね」
「そうだっけか?」
「そうだよ。でさ、」
「やだよめんどくせー」
「まだなんも言ってないじゃん」
「なんも言わなくてもそれぐらい分かるわ」
どうせあれだろ、保護者的なポジション任されてくれとか、そんなんだろ。いくら仲が良いからって、それとこれとは別問題。アイツはアイツで勝手にやるだろうしやらすべきだ。
お前はともかく、そこまで俺が首を突っ込む意図も分からないまま、はいそうですか分かりましたよなんて、誰が言えんだ。
「残念だなー。いろいろ教えてくれたからって、レポート手伝ってもらってんのが視えんだけどね、ホント残念」
「なにやればいいんだ?」
即答だった。迷う暇もありゃしなかった。
ばら撒いたエサで簡単に釣ったコイツのこう言うところがマジで嫌い。足掻いたって仕方がないとは言え、余裕な笑みに恐ろしく腹が立つ。すんなりと思考を塗り替える自分にも。
「花衣ちゃんを最短でB級に上がらせるための、肩入れ?」
「最短で?」
「うん、早く任務に就かせて場数を踏んでほしいんだよ」
「お前さ、」
コイツのやることなすことに、他人が口を挟んだところで所詮は焼け石に水。視えない奴らからすればその破天荒ともぶっ飛んでるとも取れる迅の言動はいつも理解し難い。
それでも振り返って見た時、ちゃんと筋の通った一本道ができてる。それも一番最善な道が。だから信頼もできるし思惑にも乗れる。けど。
「今回はいつにも増して秘密主義になってねぇ?子守り担当引き受けてやる俺ぐらいにはもっと砕いてくれてもいいだろ」
望月にはあれだけの直球を投げておいて、俺には一言もなんにもなしかよ。それはやっぱり納得いかない。
さっきからぼんち揚の袋の中身を漁っては1枚口に放り込むコイツの、頭の中全てを漏らせとは思わないが、仕事が絡んでんなら話は別だ。