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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第1章 シークレットメロディ



「良かった、怪我もないみたいだね」
「なんで知ってるんですか、」


あたしがついさっき襲われそうになったこと。出かかった言葉を喉の奥に引っ込めて、迅さんの思惑はどこに隠れているのか。

絡んだ視線も絶対外してやるものかと、じっと見つめてみるけど、いつも通りのへらへらした表情が大いに邪魔をして読み取れたもんじゃなかった。

ポーカーフェイスが得意なのはお互いさまか。


ローテーブルを挟んだその奥、太刀川さんの隣に座った彼は、さて、どっから話そうかな。心なしか嬉しそうな顔へ向けて、出てきそうになった舌打ちを、ぐっと堪えたあたしは誰かに褒められてもいいと思う。


これから聞かされるであろうどうでもいい話しとやらに、不本意ながら大人しく耳を貸すハメになったことも。














唖然、茫然自失、放心状態。どれが一番しっくりくる?いやどれもだ。
話しを聞いていくうちに口が塞がらなくなって、難しい単語はあたしの眉間のシワをことごとく深くした。

真っ平ごめんだなんて、思った自分の思考を早々に覆したくなった。だってそれどころじゃない、構ってられる余裕もなかった。


「あ、固まった」
「俺らは慣れてっからアレだけど、一般人からすりゃ当然の反応だろ、まともまとも」


じゃあ自分たちがまともじゃないのは自覚済みなのか。瞬きだけを頻りに繰り返す中、2人の言葉をどこか上の空で聞いていたあたしは、中々にぶっ飛んでいたらしい。


花衣ちゃーん、おーい。顔の前でひらひらと手を振り思考の奥から引っ張り戻した迅さんが、全部理解しなくていいよと、気遣ってくれるけど、したくてもできないのが現状だ。


「ちょっとまって」
「うん」
「ちょっと整理する時間がほしい、です」
「うん、いいよ、時間はたくさんあるから」


ボーダーの仕事はなんとなく知ってた。異世界からの侵攻を食い止める異端児の集団と言う、どこか歪んだイメージは勝手な見方だけど、強ちウソじゃないと思う。でもそれはどうでもいい。彼らの役目は今はどうでもいい。

サイドエフェクト。初めて耳にした横文字の集合体。頭では到底処理しきれない現象に、どうやらあたしは当てはまってるらしい。

でもそれもどうでもいい。自分がおかしな存在だってことは、もう自分が一番よく知ってる。じゃあ何がどうでも良くないって。


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