第1章 シークレットメロディ
「それもお見通しだったのかよ」
「いや、花衣ちゃんのサイドエフェクトがどんなのかまでは分かんなかったよ、おれのもそこまで万能じゃないから」
「あの、」
「じゃあなんで分かったんだ?」
「あの、ちょっと、」
「ずっと見てたらだいたい分かるよ。極端じゃないにしろ避けてるのも変に触りたがらないのも、その逆もあったし。プラスで視えてたもの擦り合わせたらそうかなって」
「ていうか無視しないで下さい!!」
じゃあ迅より長く一緒にいる俺はなんなんだ、どんだけコイツのことちゃんと見てなかったんだ。
え、おかしいなと思わなかったの?そんな視線を横から投げた迅に反論しようとしたところで、今まで黙って聞いていた望月が今日2回目の荒ぶった声を上げた。
悪かったな、おかしいと思えなくて。お前と違って、俺は純粋なんだよ。裏なんて読めねーの。
「なんなんですかさっきから。視えてるとかその、さいど……なんとかって。あたしをネタにあたしの知らないこと話すならよそでやって下さい」
「望月お前、生理前か?そんな苛々したらシワ増えんぞ?」
「………」
「うわあっぶねっ!お前これは投げちゃダメだろ!刺さったらどーすんだよ!」
「今のはどう考えても太刀川さんが悪いだろ」
怒りの頂点をすごい勢いで振り切った望月に危うく殺されるところだった。
鉄板の端っこに置かれていたコテを何の躊躇いもなく掴んで投げる行為に、間一髪受け止めはしたけどたまたま飛んできた角度が良かったからで、ヘタすりゃ流血沙汰だ。今生身なんだから勘弁してくれ。
それに場の空気を和まそうと冗談を飛ばしただけだろ。全くどこまでお堅いんだか。
花衣ちゃんさ。仕切り直しとばかりに迅が名前を呼んで、何かを察したのか望月の顔が強張ったのが分かった。