第1章 シークレットメロディ
「で、どうだった?」
「どうもこうも、それしか考えられないだろ」
「やっぱり?」
「お前はどこまで分かってたんだ?」
「んー、8割ぐらいは分かってたかなー」
「いつからよ」
「わりと最初から?」
未来視と言う有用だか厄介だか分かんねー能力を持ち合わせた迅がしれっと確信めいた言葉を口にして、漸く合致した。
よくよく考えると片鱗が見えてなかったわけじゃない。さっきみたくあからさまに避けることはほんの数回程度でも、記憶を辿ればおかしな動きは多々あったはずだ。
人付き合いが下手なんです、男の人が特に苦手で。
知り合った当時の望月のこの言葉にまんまと嵌められた。これ1つでそう思い込んで惑わされて本質を見抜けなかった。
ただ、何がやらしいって、彼女の強かさだ。俺がバカで女に甘いってのを差し引いても、巧妙すぎる。腹の内を見せず、他人に介入もしない。そうでもしなきゃ、生きづらかったんだろうけどな。
人の心が読めるなんて、俺だったら絶対持ちたくない代物だ。
最初はみんなそうだと思ってた。でも違った。小学生の時に友達との喧嘩の果て、悪く言われて謝ったら気持ち悪いと罵られた。そこで、自分が聞いていたのは声とは違う別の物だと気づいた。触れなければ入ってこない。でも触れたら聞きたくないものまで入ってくる。
影浦と同じ感情受信体質かと思いきや、それとはどうも異なる。アイツはなにもしなくても感情を肌で感じ取るけど望月は接触しないと分からない。
そのかわり、意識や感情と言う一括りのものじゃなく、モロに声が聞こえるから下手すりゃコイツのほうが厄介かもな。
望月が話してくれたままと付け加えて俺の見解を迅に伝えてやると、やっぱそっち系だったか。注文を聞きにきた店員にやんわりと断りを入れながらそう溢した。