第19章 坂道
だんだん、Aは妙な胸騒ぎを覚えてきた。どういうわけか『このままこの車に乗っていていはいけないのではないか?』という考えが浮かんでくる。体中が粟立つ。何か取り返しの付かないことが起こっているのではないかと思えてならない。
それでも数分は我慢していたが、思い余ってBに車を止めて欲しいと言った。
「なんでだ?早くしないと・・・行っちゃうだろう?」
Bの言葉の意味が少しわからなかった。行っちゃうとはどういう意味だろうか?いよいよ気味が悪くなってきたAは助手席のC子に声をかけた。
「これどの辺なの?」
しかし、C子からの返事はなかった。聞こえてなかったのかと、不思議に思ってもう一度声をかけようとすると、Bが
「『サカ』だよ」
と言った。何坂だよ、とAは思いながら外を見る。外はますます暗くなっているようだった。山だから日が落ちるのが早く感じるのだろうか?
Aは更にそわそわしだし、Bに再度車を停めるように言った。気分が悪くなったーと嘘をついた。
Bは渋々といった感じでやっと車を止めてくれた。車から降りると幾分ホッとした。車の進行方向を見ると真っ暗で、いま来た道、坂の上は若干明るい気がした。
この時、なぜかわからないけど、Aは『あっちに戻らなければいけない』と強く思った。
なので、Aはフラフラと坂を登り始めた。すると、Bが
「お前、一人でどこ行く気だ!?」
と声をかけてきた。
『ああ、確かに、こんな山の中で一人で歩いていたら危ないよなー・・・』