• テキストサイズ

かるら怪談

第18章 振り向くな


4人の中で一人は懐中電灯を持っていますが、あまり早く光らせると先生に気づかれるので、旧館に入る直前まで暗くしていることにしました。また、先生が見回りに来るといけないので、4人のうち一人は新館の方を向いていることにしました。

もし、先生が来たら、部屋で待っている方の組が懐中電灯で二回ピカピカと合図を送るので、それを見たらすぐに隠れる、という手はずでした。

この時、後ろを向いている役になったのが、最後尾を歩いていたAさんでした。

Aさんは最初こそ振り向き振り向き歩いていましたが、次第に、ほぼ後ろ歩きに近い状態で歩くようになりました。
そして、旧館の扉の前にたどり着くと、Aさんが懐中電灯を一度光らせて合図しました。

これが、「これから入るぞ」という合図でした。

新館の方から緊急事態(先生が来た!ということ)がないかをAさんが注意深く見ている時、背後では、残りの三人が旧館の扉を開けようとしている様子が伺えました。

「開いたぞ」

3人のうちの一人が小声でAさんに言いました。
ところが、Aさんが振り向こうとした矢先、

「お、おい!あれ・・・あれなんだ?!」

別の部員が震えるような声を出しました。
この時、Aさんはとっさに振り向くのをやめたようです。なんでやめたのかよくわからなかったのですが、『振り向いてはいけない』と強く思ったそうです。

「ちょ・・・あれ・・・」
「いや・・!く、来るな・・・!」

背後で3人は口々に「何か」を恐れているような声を出しています。
Aさんは恐る恐る振り向こうとしましたが、

「おい!やばいよ、やばい!・・・早く逃げろ!」
「A!振り向くな!そのまま走れ!!!」

と、言われたその声に弾かれるように、Aさんはそのまま振り返らずに走りました。
ザッザッザッと、残りの部員が背後から走ってくる足音がしました。

しかし、
「があ!!・・・」
一人が倒れ、それから、ズ、ズズ・・・じゃり、じゃり・・・と引きずられていくような音が聞こえました。

「や!やめろぉ!」

もう一人もまるで背後からひっつかまれ、引き込まれているかのような声を出しました。どうやら、そのまま引きずられていったようです。
/ 85ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp