第16章 コインロッカー
紙には、終わったあとの連絡先と報酬の引き渡し方法も記載されていた。
私はその指定された駅に行き、指定された場所のロッカーを鍵で開けた。そこにあったものについては、例の条件があるので、ここでは言えない。ただ、中身を見てひどく動揺したのは確かだった。それは私が想像していたものとは、まったく異なったものだった。
非常に気味が悪いものであったが、今更やめるわけにもいかない。
私はそれらの「荷物」を紙袋に入れた。持った瞬間はそれほど重い感じがしなかったが、中で微かに動く気配があった。
ロッカーをあとにし、私はできるだけ早くことを済ませたかったので、隣の駅のロッカーに運ぶことにした。「荷物」をロッカーに入れ、鍵をかけ、鍵を所定の私書箱あてに送付した。仕事はそれで終わりだった。これで、次の日にはポストに報酬が投函される、という約束だった。
ところが、次の日にまた、あの無機質な合成音声による電話がかかってきていた。
「かかってきていた」と過去形なのは、外出してたことで直接取ることが出来ず、留守電になっていたからである。
「コインロッカーの場所の記載がありません。コインロッカーの場所をお知らせください」
10分後
「コインロッカーの場所の記載がありません。コインロッカーの場所をお知らせください」
また10分後
「コインロッカーの場所の記載がありません。コインロッカーの場所をお知らせください」
・・・
都合、20回近くのメッセージ記録があり、私は怖くなった。
慌てて、ロッカーの場所のメモを例の私書箱宛に送付したが、おそらくそれが届くまでの間だろうか、日中、間断なく電話の呼び出し音が鳴り、気が狂いそうになった。
次の日、気がつくと、報酬はきちんとポストに放り込まれていた。
こうして喋っていても、自分でも意味がわからないと思う。
全く道理が通らない、そして、気味の悪い体験だった。