第1章 俺だけの先輩【アルハイゼン】
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「……可愛い」
私の顔に手を当て、アルハイゼンは私の涙を舐めた。
「いやっ、…誰か!助け——」
助けを呼ぼうと大きな声を出そうとしたら口を塞がれた。
くちゅ、くちゅとした水音が部屋に響く。
酒が入ってるせいだ、頭がのぼせる。
「俺も浮かれました。
こんな簡単に気づかれるミスをするなんて。
……先輩、好きです、貴女さえいればいい」
こんな状況でなければ素敵な告白なんだろうな。
少し残っている理性がそんな事を考えた。
「どうしてティナリだったんだ」
「………え、」
「先輩が卒業した時、そのまま教令院で学者として残ると思ったのにどうして俺の前から消えたんです。どうしてティナリの誘いに乗ったんだ。そして何故俺ではなくカーヴェと話をしていた、何故?」
どうやら、とんでもない男に今まで感情を向けられていた様だ。
もう考える頭は残っていないし、アルハイゼンの体格から私が逃げる事は不可能、現に両手は軽くアルハイゼンの片手で制限されている。
「………私をどうするの?殺す?」
正直殺される未来しか見えず、恐怖の中で振り絞って聞いた。
目の前の男は一瞬驚いた顔をして、嗤った。
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