Wild Flower【ガチアクタ/ザンカ/現パロ】
第3章 木漏れ日と真昼の光路図
「今のは元旦那、わたしバツイチなんですよね」
「へぇ、子供は?」
「いませんよ、婚姻歴も2年ほどだったから」
「もっと踏み込んでいいか?」
「うわー、エンジンさん悪い顔になってる」
何を注文するかなど、聞かなくても分かる。
現に彼女も敢えて声には出さない。
好きな温度に好きな味は何となく染みついてる。
踏み込んじゃダメですよ。そうエンジンに釘を刺したところで、ドリップポットに手をかけた。
「あ、ザンカくん、こないだのチョコめちゃくちゃ美味しかった、ありがとう」
「あれが美味いて、あんただいぶ疲れとるのう。スーパーの特価のチョコやぞ」
「特価でも美味しいよ、付加価値が付いてるから」
「付いとらんわそんなもん」
「付いてるよ、ザンカくんが気遣って出してくれたやつでしょ?」
そう言うのはね、増し増しで美味しいの。言いながら、なんの計算もなくふわりと笑った気配がして、以前出したことのあるチョコ数粒ごときでなんつー律儀な女やと。
後からじわじわくるこの何とも言えない照れ臭い感情のせいで、彼女の方なんてこれっぽっちも見れんかった。
〜閉店後のDahlia座談会〜
「なに、じろじろ見んでや」
「いやぁ、うちのバリスタがねぇ、あの鉄壁の仏頂面がねぇ、喜ばしいこった」
「だから何がて」
「お前気づいてないの?」
「気づくも何も、なんもないじゃろ」
「あー、そうか、そうかそうか、うん、まぁ今はいいよ、それでもな」
「………わけわからんわ。つーかエンジン!仕事中にニヤけるのほんまやめて」