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Wild Flower【ガチアクタ/ザンカ/現パロ】

第8章 灰とクオリア



「今日は雰囲気、いつもと違うのぅ」
「いつもの方が良かった?」
「いや、初めて見たけぇ、最初誰か分からんかったわ」


そりゃそうでしょうよ。
ロングのニットワンピなんて、もう何年も着ていなかったし。そもそもスカートなんて、一着も持ってなかった。

だから慌てて買いに行った、どきどきしながら。
彼はどんな服装が好みで、どんな服装が今のわたしに似合うんだろう。フレアがいいのか、タイトがいいのか分からないから数着まとめ買いまでしたんだよ、もちろんトップスも。

今日の朝、出掛けるギリギリまで迷って迷って危うく頭が爆発しそうになったんだ。


薄暗い館内の廊下の先、青く透明な光が見えて、吸い込まれるように足を進めたら、巨大な水槽。
水面のさざなみがレンズのようで、わたしたちの足元まできらきら光っていた。


「もう何十年も来てなかったけど、やっぱりすごいね」
「魚うじゃうじゃおる」
「ここから見るの、好きだったな」
「……いや目ぇおかしなるてそこ」


中央の、数メートル離れた場所からの景色がきっと1番映えるんだろうけど、至近距離で少し斜めから見るとガラスの向こうが絶妙に歪む。可愛い顔した魚も歪むから、それが不思議でずっと見てしまうんだ。

屈んだわたしの傍で同じ角度で見ているザンカくんは、ぱしぱしと数回瞬きをしてから立ち上がった。

歩調を合わせてゆったりと館内を巡っていく。
ぶくぶくと気泡が出ている真上で、そんなもの知ったこっちゃないと爆睡してる海亀に笑って、サメの迫力にちょっとびびって、そうして一際暗闇が目立つゾーン。丸い筒状の水槽が無数に並べられている幻想的な光景に息を呑んだ。


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