Wild Flower【ガチアクタ/ザンカ/現パロ】
第7章 似た者同士のノットイコール
「……ほんと、どうしたらいいの」
「なにが」
誰もいないと見越して口から出た言葉は、後ろからあっさり拾われてびくりと肩が跳ねた。振り返ると、走って追いかけてきたのか、僅かに息があがったザンカくん。
さっきのわたしみたいに一度だけゆっくりと息を吐き出した。
「なにがどうしたらええ、なん?」
「ただの独り言だよ」
「じゃあなんでそんな顔ひきつっとるん」
「寒いとこうなるでしょ?」
「嘘つけ、俺のせいやろ」
「いやいや」
「俺がこないだ言うたこと、気にしとるんじゃろ」
ほんとに周りを良く見てる。些細な表情の変化も、上擦らないようわざと落とした声のトーンも、きっと彼は気づいてるんだ。
お店、ほったらかしていいの?と、話の噛み合わない質問をすれば、エンジンがええ言うたからって。今ほどあの金髪にイラッとした覚えはない。
じゃあね!なんて軽く別れの挨拶ができる雰囲気でもないこの状況の打開策は、もう1つしか残ってないんだと思う。
「気にしてるって言ったらどうするの?」
「どうもせん。けどいきなりあんなこと言うてびびらしたのは謝る、すまんかった」
「あー、うん、大丈夫」
なにがだ?
なにが大丈夫なんだ?
ずっと大丈夫じゃなかったくせに。彼の言うようにずっと気にしてたくせに。
だけどそんなこと一言でも漏らしてしまえば、その瞬間に関係が崩れて全てがなかったことになってしまう。そんなのは嫌だ。
「けど言うたことは取り消すつもりもない」
「ザンカくん、あのね、」
「今はこのままでええけ、やからあんたも今まで通りうちに顔出してや」
変化は怖い。
じんわりゆるく、気づいた時には変わってる、感覚が麻痺する変化じゃない。
がらりと、劇的に。思考が追いつく暇もない急激なそれは、最初こそ高揚感にも似た居心地の良さに、全てが上手く回ると錯覚させる。
無くした時の絶望も知らずに。
だからわたしは、最初から選択はしない。
ただ冷めたコーヒーのように、動かない日常だけを眺めてたいんだ。
〜閉店後のDahlia座談会〜
「で?ちゃんと話せたのか?」
「……俺嫌われとるかも」
「なんでそう思うんだよ」
「目ぇ、全然合わんかった」
「お前は恋愛よりまず女心を勉強しろ」