第4章 【直哉×無関心女中】
女は直哉を突き放すと、乱れた着物をかき集め、立ち上がった。
「違う…今のは」
「ええ、大間違いですわ。」
直哉の制止も聞かず、女は怒りに震える足取りで部屋を飛び出していった。
バタン、と乱暴に閉まった襖の音。
一人残された直哉は、月光に照らされた寝台の上で、崩れるように膝をついた。
(……なんで。なんで、俺……あんな、……あんな名前……)
自分が「最高級の美」だと信じ、手に入れたはずの女。その女を抱きながら、自分が心底欲していたのは、価値がないと切り捨てた、あの「底辺の女」であったという事実。
その残酷な真実を、自分自身の口から、最悪の形で証明してしまった。
その屈辱と後悔に、直哉は暗闇の中で恐れ慄いていた。