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異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった

第15章 私が主役 前編


――聖女。
神殿で司祭が神託を受け、私に授けた名称。
その言葉を初めて聞いたとき、私は震えた。
嬉しくて、誇らしくて。
そして――世界が変わると思った。
王都の学院の門をくぐった日。
馬車も持たない平民の私を、貴族たちが見ていた。
ざわめき、好奇の視線、羨望。

――特別入学の聖女。

それは、物語の主人公の席に座るのは私だった。
平民の少女が才能を見出され、貴族の中で輝く。
誰もが好きな物語。
私も、そう思っていた。

でも……

入学式の日。
私は初めて彼女を見た。
銀色の髪、蒼玉の様な青い瞳。
静かな立ち姿。
誰もが道を空ける存在。
エミリア・ヴァレンシュタイン。
公爵令嬢。
そして――第一王子アルベルトの婚約者。
その瞬間、私は理解した。
この学院にはすでに“主人公”がいる。
誰もが彼女を見る。
廊下を歩けば、令嬢たちは自然に道を空ける。
教師でさえ、少しだけ声を整える。
それなのに…彼女は笑わない。
――誇らないし、泣きもしない。
ただ、そこに立っている。
それだけで。
世界が彼女を中心に回っている……
私は聖女なのに。
奇跡の力を持つ特別な存在なのに。

なぜ?

どうして?

――誰も彼女から目を離さないの?

最初は、羨望だった。
こんな風になりたい。
あんな風に見られたい。
そう思っていた……
でも――ある日。
中庭で彼女を見たとき。
アルベルトが彼女に話しかけた。
ほんの短い会話。それだけで――
胸の奥が、黒く沈んだ。

どうして……どうしてあの人なの?
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