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後宮は恋愛する暇はありません!なのに皇帝がやたら近い件!

第14章 事件を追え!


私はあの方に試されている。
青龍妃の衣の毒を見つけたあの日から、確信している。
誰も口にしないが、あの方はこの件を私に追わせている。
見習いという立場は便利だ。正式な女官でも、下女でもない。命じられればどこへでも行ける。
そして誰も、私を警戒しない。

——ただの洗濯女だと思っているから。

最初に向かったのは染め場だった。衣の毒は縫い目に仕込まれていた。
つまり布ではない。縫製の段階で混入された。
染め場では、まだ布の状態だ。
私は桶を運ぶふりをして、染め場の棚を眺めた。
藍、紅花、黄蘗。
どれも普通の染料。
だが、棚の奥に小さな壺がある――灰色の粉。
私は指でほんの少しだけ触れた。
舌の先で確かめ、すぐに吐き出す。
 毒だったら大変だ。苦い…でも違う。
これはただの染料の媒介剤。毒ではない。

つまり――

毒はここではない。
 次に向かったのは縫製房。ここで衣は形になる。女官たちが布を広げ、針を動かしている。

 
「琳? 洗濯場の子でしょ?確か……見習い女官に格上されたのよね?」

 
声をかけてきたのは、年嵩の女官。
私の姿を見て下級女官見習いに昇進されたことを知っている。
 さすが後宮。噂が流れるのが早い。
 噂は後宮にとって生きる術になる。
 それを知らない人間はいない。
 いかに素早く正確な"話"を耳にするかが大切だ。
 この女官も、例え下女から試験無しで特例の見習い下級女官になれたのは何事だろうと怪しんで私に何かあるだろうと声をかけて来たのだろう。
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