第4章 荒神を鎮めん
町に下りると担いでいた腕を緩め、片腕で私を抱える。結局、恥ずかしいままで、面映ゆさに玄の肩に顔を埋めた。
「……愛いな。我が主は」
「馬も鹿も、貴方には顔負けよ……」
玄は楽しそうに笑い、山に向かっていく。遠くなる素盞嗚尊神社を玄の肩越しに見つめていた。
山に入り、人の気配がなくなると玄は黒狐の姿になり、私を背中に乗せて駆ける。玄への想いを自覚した私は、許されないこの想いをどう消し去ろうと思案していた。
綺麗な川を見つけた玄はそのまま水の中に入ろうとしたので、慌てて背中から降りる。水浴びをする玄を見ながら、服を脱いだ。
胸や股を隠して水の中に入ると、あの美男子に変化した玄が微笑みながら近付いてくる。見られるのがとても恥ずかしいと感じた。
「其方が幼き頃から見ているというのに……ふっ、此方に来い」
「都合が良いのね。貴方の変化は……服を着ていないなんて……そもそも、狐の時は着ていないのに、変化した時に着てるのがおかしい」
「あの衣も変化の1つだ」
抱き寄せられ、冷たい水の中で玄の温度を感じた。人よりも高い体温。心地良さに身を任せてしまう。このまま玄と1つになれたらいいのに。