• テキストサイズ

小夜の狐神〜天に届くまで〜

第4章 荒神を鎮めん


私も床に膝をつき、目線を合わせる。玄を立たせて、今度は私が玄の前で跪く。片足を膝に乗せ、足袋に口付けた。

「これが、本来、あるべき姿だよ。玄御影神様……それが貴方の神名なのでしょう?」

息を呑んだ玄はすぐに足を下ろし、袖で唇を拭いてくる。力を入れすぎて、少し痛い。玄の顔を見てみると、眉を寄せ、頬を紅潮させていた。

「……其方にそう呼ばれると、心の臓が暴れ狂う。もう呼ぶな」

「……く……玄御影神様」

「っ……其方、楽しんでおるな?」

クスクスと笑っていると、頬を撫でられ、目を細めて見つめられる。ジッと見つめ返していると、豪快な笑い声が聞こえてきて、慌てて現実に戻った。

今私たちは、素盞嗚尊神社の神座にいるんだった。玄の雰囲気に飲まれて、玄しか見えなくなってしまっていた。慌てて素盞嗚尊の方に向き直り、頭を垂れる。

「良い良い。良いものを見せてもらったわ!玄御影神には、その巫女をそこまで想う理由があるのだろう」

素盞嗚尊には、その"理由"がわかっているようだった。私にはよくわからず、玄と素盞嗚尊を交互に見る。

「わっ!ちょ、玄……?」

いきなり肩に担がれ、足をばたつかせると、「静かにしろ」と両手で太腿を掴まれてしまった。付け根に指が這い、玄の背中を叩いた。

「鎮まったのなら、我らは帰るぞ。癒してもらわねば」

素盞嗚尊と志那都比古神にお礼を言われ、私を担いだままの玄は神社を後にした。
/ 36ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp