第4章 荒神を鎮めん
玄の毛を掴む手が疲れてきた。一刻ほど走り続けると、志那都比古神はとある神社の前で止まる。"素盞嗚尊神社"……ここに荒神がいる。
「此処は……我は入れん」
玄は妖。この神域に足を踏み入れることは許されていない。
「私が鎮めてくる……」
「妖に成り下がった神よ。入るが良い」
どこからか聞こえてきた声に引き寄せられるように、私たちは神域に足を踏み入れる。玄も中に入ると、人の姿に変化した。
「此方の方が話しやすい。戦いに来たのではないのでな。……元に戻らざるを得なかった場合は、止むを得ん」
私たちは既に、神と戦う覚悟は出来ている。最高神を相手にずっと旅を続けているのだから。
鳥居を抜けて、神座を目指す。嵐は未だに静まることを知らない。素盞嗚尊は何に怒っておられるのか……私たちが鎮めることが出来るのか……少し身体が強ばっていた。