第4章 荒神を鎮めん
枝を避ける必要もない。玄は全て見ている。会のままの私に枝も葉も当たらない。風だけが私に当たっている。
川に近付くにつれ、玄は速度を落としていく。茂みの影で止まると、私の視線は真っ直ぐに妖を見ていた。
緑の身体に頭には皿――河童だ。川の水を増幅させ、町まで流そうとしているのだろう。塞き止めている大きな岩を少しずつずらしていた。
矢を引いている指を離す。清い矢尻が河童の後頭部に突き刺さった。河童は声を上げる間もなく、塵となり、消えていく。
「流石、我が主。1発で射止めよった」
「警戒してないんだから、当たり前でしょ」
クツクツと笑う玄の背中を軽く叩き、そのまま毛並みを撫でる。
「……もうこの辺りに妖はいないようだよ。……良いかな?」
志那都比古神の言葉に頷くと背中から風が吹き、前を飛んでいく彼に、玄は走ってついていく。「降りようか?」と聞いたら無視をされた。