第5章 心を揺さぶるエレジー【パンダだって/葦を啣む】
「答えろ、夜蛾。貴様は本当に、アレの造り方を知らんのだな?」
はい、と夜蛾は重々しく返事をした。
「悪いが、パンダは拘束させてもらっている。破壊されたくなければ大人しくしていろ」
楽巌寺の足音が去り、完全に気配が消えたことを確認した夜蛾は腕力だけで呪符を引きちぎる。
ハラハラと落ちる呪符の残骸に目もくれず、手に呪力を溜めた。鉄の柵を捻じ曲げて自分が通れる隙間を作る。破壊することも可能だが、音を立てれば見張りが騒いでしまう。
檻の外へ出た夜蛾は、独房の奥へと足を向けた。
「与」
俯けていた顔をゆっくりと上げ、瞳が力なく夜蛾を捉える。
「何だ?」
抑揚のない声音で返事をする与に答えず、夜蛾は自分の檻を破壊したように、鉄の柵を捻じ曲げて独房の中へと入った。
「出ろ」
「……それはできない。俺は死刑になるだけのことをした。罪は償うべきだ」
頑なに首を縦に振らない与に構わず、夜蛾は彼を拘束する呪符を引きちぎる。
「よせ!」
腕を振り上げた与の腕から呪符が剥がれ落ちた。
「なぜ、俺を助ける⁉ 人のことを考えてる場合じゃない! アンタだって濡れ衣を着せられ、死刑を言い渡されてるだろ‼」
「俺のことはいい」
夜蛾は膝を折る。
そして、与の肩に触れ、目線を合わせた。