夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第14章 天使と巡り会うオラトリオ【東京第2結界】
「【聖観音――急々如律令】」
手印を組むと、キリークの文字を刻んだ災難除去の結界が星也を守る。
「手印だけで真言を発動したのか⁉」
驚愕に目を見開いた札埜が、「へぇ」と歪んだ笑みを浮かべた。
「オマエ、先祖返りか。どうりでムカつくと思ったよ。その見た目に声音、呪力の質、術式の完成度――どうにもアイツとダブる」
「好きに言えばいい。どれだけ君が僕に晴明の面影を見ようと、僕は僕――神ノ原 星也。ただの一介の術師に過ぎない」
懐から【天枢】を取り出し、星也は刃のように呪力を伸ばした。すると、札埜は怒りに眉根を深く寄せる。
「ただの一介の術師が! 晴明と同じ領域に立てるわけねぇだろうが‼」
――【一番、二番――纏え、雷】‼
札埜が新たに抜いた呪符が刀に変化し、バチバチッと爆ぜる雷を纏った刀が振り下ろされた。【天枢】で受け止め、グッと押し返そうとする。しかし、雷が【天枢】ごと星也を斬り裂き、バチッと弾かれた。
「く……っ!」
カランッと弾かれた【天枢】が“天使”の足下で音を立てる。
「どうした? こんなんで本気とか言わねぇだろ?」
弾かれた【天枢】を一度 振り返り、星也は深く息を吐き出した。
呪符に描かれていたのは式神――おそらく札埜は式神使いだ。それも、自分や伏黒のように召喚するのではなく、式神の力を自分に憑依させるタイプ。だが、手数の多さでは引けを取らない。