夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第13章 戻らないプラーチド【東京第2結界】
「ダメだよ。僕は臆病で弱い人間だから、お手本にしちゃダメだ」
「そうなの?」
怪訝そうな顔をする二人に、困ったように眉を下げて笑みを作る。
「あぁ。僕は全然 強くないし、優しくもない。ただ そう見えるだけ」
そんな自嘲の言葉を紡ぐと、不意に脳裏に津美紀の姿が過った。
――「星也さんが自分のこと嫌いなら、それでもいいです。その分 私や恵たちで、星也さんの良いところを伝えますから」
――「いつか 星也さんが、自分を許せる日が来ますように」
同時に、病院で会った津美紀のことも思い出す。
自分の知っている姿や仕草と変わらない、津美紀を装う得体の知れない存在。術式の結果が間違っているのではないかと疑いたくなるほどに。
そこへ、「あの」と先ほどの まとめ役の男性が声を掛けてきた。
「もし良かったら、ここに留まっていただけると助かるのですが……難しいでしょうか?」
「すみません。そうしたいのは山々ですが、人探しをしていまして……代わりになるか分かりませんが、結界を張っておきます」
そうですか、と不安そうな表情をされると申し訳なさが募る。だが、ここに残っては“天使”を探しに行けない。
兄妹にやんわり断りを入れ、星也はビルの前に立ち、揃えた指で真横に一線を描く。