夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第12章 トライトーンに蘇る恐怖【東京第1結界】
伏黒は【玉犬】に逃げる麗美を追わせていた。
点だ……点がいる。津美紀を助けるために。
それに、自分が点を稼げれば、詞織に余計な負担を強いらなくていい。
――「君が正しいと思ったなら、僕は何も言わないよ。ただ、力の使い方はしっかりと考えて」
――「恵、お姉ちゃんの言うことはちゃんと聞かなきゃ」
――「メグは悪くない。弱いわたしが悪い」
――『とっても不本意だけど、詞織のことを任せるわ』
星也の、星良の、詞織の、詩音の言葉が耳の奥で蘇った。
そして――……。
――「ダメだよ、恵」
パシャッと【玉犬】が影に溶けて消える。
視界の先で、【玉犬】に追い詰められて身を小さくしていた麗美が、パタパタと路地裏に逃げて行くのが見えた。
「……うるせぇ……クソ、姉貴……」
力を使い果たしたのか。足に力が入らず、ドサッとその場に倒れ込む。
もう、動けない……詞織は無事か?
それに、虎杖とも合流しなければ……。
けれど、段々と考えるのも億劫になってきていた。
意識が沈んでいく。
ぼやけた視界の片隅で鳥のような羽が舞う。
恵、と聞き慣れた声音が優しく名前を呼ぶのを聞いた気がした――……。