• テキストサイズ

夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】

第12章 トライトーンに蘇る恐怖【東京第1結界】


 背を向けて去って行った女と変態芸人に、黄櫨は深く息を吐き、引き抜いた歯を握り潰した。

「おい、かや子。ガキに負けてんじゃねぇよ。ボロボロじゃねぇか」

「うっさい。レジィだって、あのウニ頭君に負けたんだろ。どうなってんンだよ、現代の子どもは! 【領域】使ってくるとか聞いてないんだけど!」

 まだ頭が痛むのか。顔を顰めながら かや子はこちらに頭を預けてきた。

「動けない。ハゼくん、おんぶして」

「ちっ。しょうがねぇな」

 先ほど女に投げた目玉を【反転術式】で治療し、かや子を背負う。

「そうだ。あの女の子に点 全部 持ってかれたんだ。ハゼくんのちょーだい」

「なんでだよ」

「0点なんてカッコ悪いじゃん」

 かや子が唇を尖らせ、拗ねたように言った。

 あんな凶悪な笑みを浮かべることもできる かや子の頼りない姿に、庇護欲が刺激される。

「どんだけ欲しいんだよ。さっき変態に5点 渡したばっかだぞ」

「全部」

「バカ。半分でいいか?」

「え、そんなにくれンの?」

 シャレかよ。分かりにくいな。

「コガネ。かや子に15点くれてやれ」

 現れたコガネに命じると、かや子のコガネも現れた。


『黄櫨 折から15点が譲渡されました』


 変態に渡す5点は惜しいが、かや子への15点は惜しくない。

「ありがと、ハゼくん」

 かや子が力なく笑う、が……まだ顔色が悪い。

「少し寝てろ」

「呪霊が襲ってきたらどうすんのさ」

「舐めんな。オマエ 守りながらでもヨユーだわ」

 目をパチクリさせる かや子を抱え直し、黄櫨は手を伸ばして、彼女にキャスケットを深く被らせる。

「ねぇ。ハゼくんって、ボクのこと好きでしょ」

「冗談よせ。オマエのためじゃ、命くらいしか懸けてやれねぇぞ」

「ははっ。めっちゃ好きじゃん」

 首に回された腕に柔らかく抱きしめられ、背中に感じる温もりに、心臓がいつもより速い鼓動を打っていた。

* * *

/ 336ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp