夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第12章 トライトーンに蘇る恐怖【東京第1結界】
「自分の心配したら? あなたの持ってる点、全部 貰うから」
詞織はかや子と向き合い、呪具を取り出す。
今年の六月に少年院で敗北した特級呪霊――伏黒は何かタネがある様子だと言った。
最初に思い当たるのは、あの呪霊の攻撃を術式で防げたことだ。ギリギリ…という感じでもなかった。
詞織の言葉に、かや子が おかしそうにクスクスと声を立てて笑う。
「随分と威勢がいいね。じゃあ、まずは大きな口 叩けないようにしてあげる!」
かや子の命令に、特級呪霊が呪力を弾丸のように飛ばしてくる。
「【夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらん】‼︎」
前方に月の光を纏うバリアが現れ、呪力弾を防いだ。
やはり、威力はあのときの呪霊に劣る。この辺りにタネがありそうだ。
詞織は高く跳躍して呪霊に迫った。長い手足がしなるように動き、拳や蹴りが繰り出される。それにどうにか食いつき、合間に剣戟を浴びせた。
鋭い爪が大きく振り下ろされ、詞織は飛び退いて躱し、唇を開いた。
「【かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを】」
轟音を立てて特級呪霊が燃え盛る炎に呑み込まれる。かや子が爆ぜる炎に顔を庇い、悲鳴を上げる呪霊に顔を顰める。