第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
虎杖は高く跳躍し、パンダの頭上から連撃を叩き込む。パンダもそれを一つ一つ食らうほどひ弱ではない。こちらが加減しているように、パンダにもかなり余裕がある。
虎杖の拳を掴み、パンダが蹴りを放ってきた。半身を引いて躱した虎杖は、柱に向けて走り、それを足場に蹴りをお見舞いする。
横だけではなく 縦も使いながら、できるだけ会場を広く駆け回り、躍動感と迫力を意識して動いた。
『おぉぉぉ⁉︎ コイツは確実に俺の実況人生ベスト バウトだぜ! まだ実況 始めて半月だけどね〜〜‼︎』
そう実況されるが、虎杖とパンダとっては ほとんど高専での組み手と変わらない――それでも、試合が拮抗しているという緊張感を演出する。
「(パンダ先輩は秤先輩に会えた?)」
「(いや。知った仲だから警戒はされてないが、避けられてる。あとは もう一人の三年の術式が問題でな)」
やはり、パンダも秤に協力を仰ぐために潜入しているようだ。ある程度 秤たち三年の情報も持っているなら、こんな心強いことはない。
しかし、会えなければ協力を頼むこともできない。
パシパシッと互いに拳で牽制し合いながら、虎杖はパンダと状況の報告をし合う。
「(高専生ってことは隠してるんだろ?)」
「(うん)」
「(よしよし。後は分かるな?)」
そう言って、パンダがガードを緩めた。その意図を察し、虎杖はパンダの腹に一撃を入れる。一応 加減したはずなのだが、パンダはわざと大きく吹き飛ばされた。
「ぐぁっ! なんてパンチだ! 動けん! これは動物愛護団体が黙ってないぞ‼︎」
演技下手か。わざとらしすぎるだろ。
しかし、試合終了のコングは鳴り響き、会場がワァッと賞賛と喝采に沸く。
『勝者! 虎杖〜〜‼︎』
虎杖は拳を突き上げ、こんな簡単でいいのかと逆に不安になっていた。
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