第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
『さぁ! はった はった〜〜‼︎ よぉござんすか⁉︎ よぉござんすねぇ〜〜〜〜⁉︎』
薄暗いモニタールームで、金髪を無造作に後ろへ撫でつけた強面の男はソファに大きく背中を預け、天井を仰いでいた。
「……熱が引いていくのが分かるぜ」
「どうして、金ちゃん?」
しなだれかかるように、口にいくつもピアスをつけたその人物は、男の顎を指先でなぞる。それを止めることなく、男は大きなため息を吐いた。
「『運』ってのは、試されてナンボだろ。始めから勝ちが見えてる賭けはつまらん。野良術師でパンダに勝てる骨太はそういないからな」
そうぼやいていると、ピアスの人物は試合会場のモニターを見て、目を瞬かせた。
「そうでもないみたい」
「あん?」
ちょんちょんとモニターを指すピアスの人物に、男も身を起こしてモニターに視線を向ける。
そこでは、パンダの対戦相手――顔に傷のある明るい髪色の少年が、会場をフルに活用しながら、躍動感のある動きでパンダに迫っていた。
『勝者! 虎杖〜〜‼︎』
少年――虎杖の勝利宣言に、男はすぐにスマホをとって電話を掛け始める。
「トーナメントが終わったら、虎杖を屋上に上げろ」
『は?』
電話の向こうが戸惑う声がしたが、男は「どうせ勝ち残る」と無視して続けた。
虎杖は上階にいる観客を魅せるため、意識して立体で動いていた。戦い慣れているのは見たら一目瞭然で、魅せ方も知っている。いい脚本が書けそうだ。
「いつも言ってんだろ。熱は熱いうちに……だ」
――呪術高専三年 秤 金次
「それ、バカっぽいから やめな?」
――呪術高専三年 星 綺羅羅
『はい。でも、どうします? もう一人のガキの方。それに、綺羅羅さんも妙な子どもと遭遇したって……』
「それは引き続き警戒しろ。後で警備に綺羅羅も出す」
そう言うと、ピアスの人物――綺羅羅は「え~?」とあからさまに不満そうな顔で声を上げる。
段々と気分がノッてきて、笑いが止まらない。
「いい感じにザワつくぜ。こんなザワつくのは、元カノがリボ払いしまくってたとき以来だ」
男――秤が電話の向こうにそう話すと、「元カノの話やめて」と不機嫌さを隠そうとしない綺羅羅は顔を顰めた。