第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
「試合には二種類ある。今日のトーナメントのような脚本なしの“ガチンコ”と、脚本ありの“八百長”。脚本はもちろん胴元が書く。ここで上手くアピールできたら声が掛かるかもな」
「要は派手に暴れりゃいいわけだ」
話が簡単になってくれて助かる。そういうのは得意分野だ。
男に案内され、試合会場に入る。階をぶち抜き、上が客席、下が試合会場ということらしい。客席といっても、全員 立ち見だが。
客層はバラバラ――カジュアルな着こなしの一般人からビジネスマン風の者、“いかにも”な空気感の裏社会の人間もいる。
違法な賭け試合だからか、プロレスやらボクシングのような熱気はないが、値踏みされているような居心地の悪さはあった。
そういえば、伏黒や詞織も潜入して観客に紛れると言っていたし、どこかで見ているのだろうか。そんなことを考えていると、男が「おい、来たぞ」と呼んできた。
「アレがお前の対戦相手だ」
男の示す先を見て、虎杖は目を丸くする。
「俺も初めて見たときは ぶったまげたよ」
「あぁ」
そうだな。自分もぶったまげてるよ。アンタと違う意味で。
「まさに客寄せってわけだ」
どういう表情をしていいのか分からず、とりあえず男に話を合わせる。視線の先では、愛くるしい表情で“ソイツ”はのそのそと身じろぎをしていた。
『さぁ、今夜も始まりました! ガチンコ ファイトクラブ トーナメント! 実況はお馴染みジョン⭐︎ボビがお送りします! さっそくゴキゲンな対戦カードを紹介するぜ‼︎ 突如 現れた刺客! 三角の次も四角‼︎』
――デンジャラス火の玉ボーイ! ユゥウウジィ イタドリィィイ‼︎
――立てばパンダ、座ればパンダ、歩く姿はマジ パンダ! パ! ン! ダ! だァアアア‼︎
『さぁ! はった はった〜〜‼︎ よぉござんすか⁉︎ よぉござんすねぇ〜〜〜〜⁉︎』
ようやく会場が熱を持って ざわつき始めた。
対戦相手――パンダに視線を向ければ、彼は上階の観客に愛嬌を振り撒いている。
やがて、けたたましいコングの音と共に試合が始まった。