第6章 クレッシェンドに高まる熱【賭け試合】
「もし秤先輩と会えることになったら 何て言う? 『協力して欲しいです』って言ったら手伝ってくれるかな?」
「たぶん無理。協力を頼むには、わたしたちが高専の人間だって話さないといけない。『高専』のワード出したら、一瞬で警戒されて、最悪まともに話を聞いてくれないと思う」
「だよな。でも、言わずに頼むってムズくね?」
そんな高度な交渉テクニックなど持っていないのだが。その辺りは伏黒の担当だろう。
「高専の話をするのは最後だ。それまでは適当に話を聞いて、相手の出方を窺え」
「オケ。じゃあ、それまでは高専のこととかは知らないフリすればいい感じ?」
「丸々 知らないフリすることない。ユージが術師なのは向こうも知ってるし、変に知らないフリしすぎると、逆に怪しまれる」
なるほど、と虎杖は内心で感心する。
さすが、伏黒と同じく二級で入学した天才だ。普段は伏黒に隠れているが、詞織もだいぶ頭が回る。
二級術師は単独任務も許されているし、これくらい当然と言われれば そうかもしれないが。
「虎杖の出場時間になったら、俺たちも中に入る」
「バレると一網打尽だから、手分けして……だよね」
「詞織はどうやって入んの?」
伏黒は術式で人の影に潜ることもできるが、詞織にそれはできない。
「手持ちの歌を認識阻害の効果に書き換える。中に入れば観客に紛れられるから問題ない」
さすが、【陰陽術式】の派生。応用の利かせ方が違う。
「そろそろ時間だな。頼んだぞ、虎杖」
「気をつけてね、ユージ」
伏黒と詞織に「応」と力強く返事をし、虎杖は集合場所として指示されている入口へ向かった。
* * *